熱帯・亜熱帯の限られた地域、いわゆる「コーヒーベルト」で栽培されるコーヒーは、気候変化に影響を受けやすい農作物。将来はコーヒーの生産地が大幅に減ってしまうのではという見方もあるなかで、「コーヒーの力で、世界にポジティブな変化を」というビジョンを掲げるUCCグループ。UCCジャパンで農事調査室長として世界中の産地を飛び回る中平尚己さんに、UCCグループが目指す未来についてお話を伺いました。

UCCはコーヒーの何でも屋
1933年に創業したUCCグループ(以下UCC)は、「よりよい世界のために、コーヒーの力を解き放つ。」というパーパス実現のために、栽培から原料調達、製造加工、流通、販売に至るまでを一貫して手がけています。このように一貫したコーヒー事業をグローバルに展開する企業は、実は世界でもユニークな存在。取材に対応してくれた中平さん曰く「コーヒーの何でも屋」なのだそう。
「コーヒーは気候変動の影響を大きく受けやすい作物。そのため、2050年には生産量が半減する”コーヒーの2050年問題”という警鐘も鳴らされています。その中で私たちが目指すのが”2030年までに100%サステナブルなコーヒー調達に”するというものです」
UCCはハワイとジャマイカにある直営農園や、生産国との協業によって生産のノウハウを蓄積してきました。この知見を、課題を抱える生産者と共有し、農事支援を行うことで、安定した生産だけでなく、環境問題の改善、生活の質の向上といったポジティブな変化を生み出すために取り組んでいます。しかしひと言で支援といっても、生産者が抱え課題はさまざま。「降雨量が少ない」「土地に栄養が少ない」「インフラが整っていない」……。

いる地域は「タンザニア」
「ウガンダ」など4か国。
「コーヒーの生産には、年間2000ミリ程度の雨が理想とされており、それより少なければ水を撒く必要があります。しかしインフラが整っていない場合もある。それなら取水場を作ったり、土壌からの蒸発を防ぐ工夫をしたりなどで土地の事情に合わせた改善方法を探っていきます。生産者自身で継続できるものなのかどうかという点。大切なのは、その土地の自立を可能にする支援です」

する「UCCブルーマウンテンコーヒー
直営農園」
すべてのコーヒーをサステナブルに
UCCでは、支援をした地域のコーヒーは、使い続けるのが基本。スペシャルティコーヒーから、缶コーヒーやスーパーで販売しているレギュラーコーヒー製品まで、さまざまに取り扱う会社だからこそできる、生産国とのつながりといえるかもしれません。
「私たちの変わらない目標は”おいしいコーヒー”を届けることなんです。サステナブルだから選ぶのではなく、おいしいコーヒーを選んだら結果としてサステナブルだった。そういう未来を目指すために、コーヒーを通してポジティブな社会を作っていけたらと思います。
生産国への支援だけでなく、カーボンニュートラルや健康・教育事業など、UCCグループのサステナビリティへの取り組みは、コーヒーを軸としてさまざまな分野に広がっています。興味のある人はぜひ公式サイトでもご確認を!
公式サイト:https://www.ucc.co.jp/company/sustainability

2030年までに基準を満たした調達
100%の実現を目指す。
『水を還すヒト・コト・モノマガジン「Water-n」』vol.17より転載(発行:一般社団法人Water-n)