水から考える持続可能な会社づくり社会づくり①

SDGs①:17ゴールから仕事のヒントを見つけよう

経済活動によって環境を破壊し、その修復コストを負担する。こうした従来型の環境活動にとどまらず、そもそも本業を通して社会課題の解決を目指す企業が増えてきました。今、全世界的に企業のあり方が大きく変わろうとしています。本連載では、それら変化と水(業界)との関連を考えてみたいと思います。まずはSDGsからはじめましょう。

みずからの行動を見直す指針


SDGsという言葉を目にしたり、耳にしたりする機会が増えてきました。読み方からして分かりにくいですが、SDGsと書いて「エスディージーズ」と読みます。「Sustainable Development Goals」の頭文字をとったもので、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。

2015年9月にニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」においてまとめられ、その後の国連総会で正式に採択されました。人類と地球および繁栄を持続可能にするための、世界共通の目標です。

もちろん日本もこの目標を共有していますし、「水」に関わる要素も多く含まれています。国連の取り組みはグローバルすぎて「身近に感じない」「自分にできることはない」と感じる人もいると思います。筆者も恥ずかしながらその一人でした。

ですが、SDGsを知れば、今すぐにでも身近で取り組めることがあることに気づくのではないでしょうか。一市民としても、企業人としても、企業としても、です。その意味で、SDGsは行動を見つめ直す問診票でもあると思います。

まずはSDGsを知ることが第一歩です。

みんなで決めた世界共通の目標

SDGsの対象となる期間は、2016年から2030年までの15年間です。

それ以前に国連としての目標が無かったわけではありません。2001年から2015年までの15年間を対象とする「ミレニアム開発目標」がありました。Millennium Development Goalsの頭文字をとってMDGs(エムディージーズ)と呼ばれることもあります。しかし、SDGsが今起こそうとしているほどの“旋風”を巻き起こせたわけではありませんでした。

なぜ今、SDGsがこれほど注目されているのでしょうか。それは、MDGsと比較して、主に3つの違いがあるからです。

1つ目の違いは、MDGsが途上国の目標であったのに対し、SDGsはすべての国の目標として位置付けられたことです。

2つ目は、MDGsが国連の専門家が主導して採択されたのに対し、SDGsは国連の全加盟国による交渉の結果でした。

つまりSDGsは、一部の人が決めた一部の国のための目標ではなく、みんなで決めた世界共通の目標なのです。

誰もが何かに貢献できる

さて、最後の3つ目の違いです。これが個人的には最も大きなインパクトを与えたと思っています。それはゴールとターゲットの質と量の違いです。

SDGsでは、17のゴールと、各ゴールを達成するための169のターゲット(より具体的な目標)で構成されています。これに対し、MDGsはゴールが8、ターゲットは21で、SDGsの半分以下です。

もちろん量が多ければ良いというわけではありません。大切なのは中身です。SDGsのゴールには健康・福祉、経済成長、都市、産業、気候変動など、世界共通の課題が目に付きます。先進国も途上国も、行政も企業も、あらゆるステークホルダーが何らかの形でSDGsに関与している、言い換えれば何らかの貢献ができるということに気づかされます。

SDGsの各ゴール、各ターゲットは、より包括的かつ有機的に関連しあっていることも大きな特徴です。例えば、「ゴール9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことができれば、「ゴール6.すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことの実現につながるでしょう。

廃水処理においては、実はすでに排水規制を守ることだけではなく、プラスアルファとして省エネ化や処理水リサイクルは当たり前になっています。ゴール6の水資源対策と、ゴール13の気候変動対策を連関させた好事例の1つです。

1つの行動=何個のインパクト?

 


持続可能な開発目標(SDGs)の詳細

廃水処理という1つの行動によって、2方向にプラスのインパクトを与えたと言い換えることもできます。廃水処理に限らず、一人一人に与えられた業務タスク、会社の事業などにおいても、1つの取り組みによってプラスのインパクトを与えられる方向を広げていくことは、社会のみならず企業の持続可能性にとっても、これからますます重要になってきそうです。

というのも今、デジタル化やテクノロジーの融合が進み、「業界」の区別、業種の「際」があいまいになってきたと言われているからです。そんな時代を生き残るために必要な力として、日経BP社がこのほど創刊した「日経×TECH」の案内文にはこう書かれています。「変化はテクノロジーと産業の境界領域で起こっている」「技術者やビジネスパーソンが真価を発揮するためには、確かな専門性に加え、技術・産業の境界をまたいで物事を俯瞰し問題を解決できる多面性の視点が欠かせません」(一部抜粋)。

いきなり多面的に考えろと言われても、何をどう考えていいのか戸惑うかもしれません。そんな時こそ、SDGsの17のゴールが思考のヒントを与えてくれます。例えば、ゴール6の水資源対策とゴール11の持続可能な都市及び人間居住の実現を関連させてみると、下水処理水で道の駅にせせらぎを作って集客につなげたり、上下水道の持つ余剰地に道の駅を作って雇用創出したりするアイデアがわいてきませんか。

ぜひ一度、自分の業務タスクや会社の事業を、SDGsに当てはめて棚卸してみてはいかがでしょうか。強み弱み、足りないことが明らかになり、次なる事業展開のヒントが見えてくると思います。

かつて環境と経済が対立軸で語られた時代もありましたが、今やSDGsの実現と企業活動は同じ方向を目指しています。いずれ、同義語のように使われる時代が来るのかもしれません。

(「用水と廃水」4月号より)
(MizuDesign編集長:奥田早希子)

参考資料
外務省:SDGs(持続可能な開発目標)のための2030アジェンダ
国際連合広報センターサイト

※本連載は月刊「用水と廃水」への投稿を、発行元である産業用水調査会のご厚意により転載したものです。紙面に収まり切れなかった内容も追記しています。

 

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