水から考える持続可能な会社づくり社会づくり②

SDGs②:ギアアップして世界に追いつこう

SDGsを知っていますか?

14.8%。

この数字が何を意味するかお分かりになりますか。今年4月に電通が発表したとある調査の結果です1)

答えは、日本におけるSDGsの認知率です。低い。。。しかも、男性20代が32%だったのに対し、女性20代はわずか9%しかありませんでした。

「いやいや、他国だって意識が高いわけではないでしょ」という声が聞こえてきそうですね。では、同社が世界20カ国・地域を対象に行った別の調査結果を見てみましょう2)

ベトナム  80.7%
フィリピン 70.3%
フランス  24.7%(最下位)
平均    51.6%

平均で2人に1人、最下位のフランスですらおよそ4人に1人は知っているのですから、日本の認知率の低さは際立っています。

日本は「三方良し」じゃなかったの?

それ故と言えると思いますが、ドイツのベルテルスマン財団が2016年にまとめた報告書「SDG INDEX& DASHBOARDS2016」3)によると、日本のSDGs達成状況は149か国のうち18位、達成率は75%にとどまるという評価でした。

日本には近江商人の時代から「売り手良し買い手良し世間良し」という三方良しの文化があり、それはSDGsの考え方と極めて類似した考え方のはずなので、スコアはもっと伸びても良い気がしますが、それほどではありません。国際的な物差しで測ると、三方良しではない面が見つかってしまうということです。

「SDGsって日本の三方良しと同じでしょ」という声を見聞きすることがありますが、この考え方は「だからSDGsを意識した新たな取り組みは必要ない」という結論に陥るのでとても危険です。日本が思うほど、世界は日本を三方良しとは思っていないという事実を真摯に受け止めなければなりません。

ちなみにSDGsの17ゴールのうち、達成率が高かったのは次の3つでした。

ゴール4:教育
ゴール6:水・衛生
ゴール9:インフラ、産業化、イノベーション

逆にとくに達成率が低いとされたのは、以下の7つでした。

ゴール1:貧困
ゴール5:ジェンダー
ゴール7:エネルギー
ゴール13:気候変動
ゴール14:海洋資源
ゴール15:陸上資源
ゴール17:実施手段

SDGsを自分ごと化しよう

前回にお伝えしたように、SDGsはみんなで決めてみんなで実践する世界共通の目標です。それを知らずにいると日本は世界の流れから取り残され、経済的にも政治面、外交面でも、これから大きな壁にぶち当たることが推察されます。

劣悪な労働環境で生産された原材料を使っているなどリスクを回避することはもちろんですが、商品とSDGsとの関連を説明できなければ比較劣位となり、海外市場で見向きもされなかったり、海外製品に市場を奪われたりする恐れもあるのです。

 一方、SDGsの目標年度である2030年までに、日本国内では多くの国際行事が予定されています。2019年にG20サミットとTICAD(アフリカ開発会議)が、2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開かれますし、2025年の万博誘致の動きもあります。それら機会に日本のSDGsの取り組みをアピールできれば、日本の国際的な存在感が高まるでしょう。

政府も一気にギアアップしています。

 SDGsが策定された翌年の2016年に、内閣総理大臣を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が首相官邸に設置されました。副本部長は内閣官房長官と外務大臣、その他の全国務大臣が構成員という力の入れようです。

同本部がまず着手したのは、SDGsを日本のモノとして自分ごと化することでした。日本としてのビジョンを作ったり、国内政策と17ゴールの紐づけ、優先課題の抽出などを行い、まとめられたのが「SDGs実施指針」4)と「SDGsアクションプラン2018」5)です。

実施指針には、ビジョンとして「持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」とあり、SDGsに取り組むにあたっての5つの心構え(主要原則)が書かれています。私なりの解釈で説明文を入れておきます。

①普遍性:国内に良いことは海外にも良い。その逆も然り。
②包摂性:みんなのために。
③参画型:みんなでやろう。
④統合性:1つのゴールに良いことは、残り16のゴールにも良い
⑤透明性と説明責任:正々堂々と。

 この5つの心構えを持ったうえで、日本が優先して取り組む課題と具体的な取り組みがまとめられています。

国の資料にはとかく小難しい文字が並んでいるので、字面だけで目をそむけたくなることは多々ありますが、自分なりの言葉に言い換えてみると、遠くに思えていたSDGsが自分ごと化し、私たち一人一人にでも今からすぐに実践できそうなことがたくさんある気がしてきませんか。もっともっと簡素化すると、SDGsの心構えは「一人はみんなのために。みんなは一人のために」と言い換えても良いと思います。さあ、小さな一歩を踏み出しましょう。

(「用水と廃水」4月号より)
(MizuDesign編集長:奥田早希子)

参考資料

1)電通:ニュースリリース「SDGsに関する生活者調査」を実施
2) (株)電通:ニュースリリース「ジャパンブランド調査2018」を実施
3)ベルテルスマン財団:「SDG INDEX& DASHBOARDS2016」
4)持続可能な開発目標(SDGs)推進本部:「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」
5)持続可能な開発目標(SDGs)推進本部:「SDGsアクションプラン2018」

※本連載は月刊「用水と廃水」への投稿を、発行元である産業用水調査会のご厚意により転載したものです。紙面に収まり切れなかった内容も追記しています。

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