インフラの未来はロボットとAIが切り拓く
普段は見えない地下や施設の中で私たちの生活を支える上下水道インフラ。その現場では今、ドローンやロボット、AIといった新しい技術が次々と導入されています。
本特集では、こうした技術を活用する企業の取り組みを紹介してきました。しかし、技術だけで未来がつくられるわけではありません。人口減少や人手不足が進むなか、新しい技術を現場で活かし続ける人材の存在も欠かせません。
特集の締めくくりとして、水インフラ分野のDXや技術革新、そして未来を支える人材について、中央大学の山村寛教授に話を伺いました。
『水を還すヒト・コト・モノマガジン「Water-n」』vol.19より転載(発行:一般社団法人Water-n)
水インフラの未来をつくるのは 技術と挑戦する人材
中央大学・山村寛教授
デジタル技術がもたらす変化
上下水道の現場でのデジタル技術の導入が、現場に大きな変化をもたらしています。
「これまで見てきましたように、この未来を実現するためには何が必要なのでしょうか?」
中央大学 水環境システム研究室の山村寛教授は、現在の研究の中心テーマは「新たな転換期にある」といいます。
現場で試行錯誤を重ねる企業
「新しい技術を積極的に取り入れ、現場で試行錯誤を重ねている企業がある一方で、従来のやり方や事業を続けている企業もあり、業界の中ではさまざまな動きが同時に進んでいます。必ずしもすべてが成功するとは限りませんが、小さな企業がゲームチェンジを起こす可能性も大いにあります。ある意味では群雄割拠の戦国時代のような状況です」
技術だけでは解決できない課題
これから大きな課題となる人手不足への対応にも、技術による改革が必要です。上下水道施設の維持管理には多くの人手が必要ですが、人口減少が進む中、これまでと同じやり方を続けることは難しくなっています。
「ロボットや自動化技術が現場を支える重要な役割を担っていく可能性にも期待しています。これまで使いづらく、安全に実用化できなかった日本の水処理技術は海外市場で実績を積み上げ、処理分野は機械化や自動化が進んでいます。新しい技術は現場で試行錯誤するためには、現場で活躍する人たちが使い続けていくシステムをつくらなければ力が欠かせません」
水インフラの未来を支えるもの
水インフラのような社会システムの中にある設備は、失敗しないことが重要視されます。それでも、この課題に満ちた状況を打破するのは、挑戦を続ける企業と人だと山村教授は語ります。
「ロボットやAI・DXといった新しい技術に向き合う今こそ、現場の課題解決に挑戦する世代の力が求められています。私たちの暮らしを支える水インフラの未来は、これからの挑戦の中で形づくられていくのです」

Profile
山村 寛 教授
中央大学理工学部 人間総合理工学科 水代謝システム研究室。
分離膜の閉塞を抑制する技術の開発や、膜を使った微細藻類の分離などを研究。アウトリーチ活動にも積極的に取り組み、科学技術コミュニケーターの資格を持つ。

