「NO ENTRY」で実現する下水道管路の“健康診断”

インフラの未来はロボットとAIが切り拓く

インフラの未来はロボットとAIが切り拓く

普段は見えない地下や施設の中で私たちの生活を支える上下水道インフラ。その現場では今、ドローンやロボット、AIといった新しい技術が活躍し始めています。本特集では、こうした技術を活用し、水インフラの未来を切り拓く企業の挑戦を紹介します。

『水を還すヒト・コト・モノマガジン「Water-n」』vol.19より転載(発行:一般社団法人Water-n)


「NO ENTRY」で実現する下水道管路の“健康診断”

フジ地中情報

自律走行型ドローン「アルキメデス」

地下に張り巡らされた下水道管路は、私たちの生活を支える重要なインフラです。しかし、その多くは地中にあるため、点検や調査は簡単ではありません。こうした課題を解決するために導入されたのが、フジ地中情報の自律走行型ドローン「アルキメデス」です。

アルキメデスは、下水道管路の内部を自律自走で進みながらスクリーニング(一次診断)を行う小型のドローンです。作業員がマンホールに入る必要はなく、マンホールから投入するだけで、管路内を前進しながらLEDライトで内部を照らして一定間隔で撮影し、管の破損や劣化の可能性を把握します。

小口径の下水道管路を自動走行で調査する「アルキメデス」。コンパクトで持ち運びやすく、災害時の調査にも活躍できる。

下水道管路の「健康診断」

このドローンの役割は、いわば下水道管路の「健康診断」です。詳細調査の前に広範囲のスクリーニングを行い、問題箇所を絞り込むことで、点検作業の効率化とコスト削減につながります。

さらに、現場での実用性の高さも魅力です。大掛かりな車両を使わないため最小限の交通規制で済み、操縦不要で複数台を容易に運用できるため、スピード感のある効率的な調査を実現しました。

フランス視察から生まれたアイデア

アルキメデス誕生のきっかけは、フランス視察で見つけたヴェオリアの管路調査ロボットでした。上下水道PPP事業部の藤岡祐さんは「この仕組みを日本の下水道調査に応用したら、特定の技術者に依存する『属人化』を解消し、誰でも安全かつ簡単に調査を行える」と国内向けの運用を推進したのです。

アルキメデスに搭載されているカメラは、特別な専用機器ではなく、インターネット通販でも購入できる比較的安価なもの。高価な専用機に頼るのではなく、シンプルな機器を組み合わせることで、実用的で導入しやすいシステムを実現しました。

「フランスでこのドローンを開発したのは、建設業界出身の人物。異なる分野の経験を持つからこそ、従来の発想にとらわれないアイデアが生まれたともいえます」(藤岡さん)

インフラ管理を支える新しいツール

下水道インフラの老朽化が進む中、管路の点検需要は年々高まっています。アルキメデスのようなスクリーニング調査に特化したドローンは、効率的で安全なインフラ管理を支える新しいツールとして大いに注目が集まっています。