インフラの未来はロボットとAIが切り拓く
普段は見えない地下や施設の中で私たちの生活を支える上下水道インフラ。その現場では今、ドローンやロボット、AIといった新しい技術が活躍し始めています。本特集では、こうした技術を活用し、水インフラの未来を切り拓く企業の挑戦を紹介します。
『水を還すヒト・コト・モノマガジン「Water-n」』vol.19より転載(発行:一般社団法人Water-n)
宇宙からの目で漏水を見つける
衛星データを活用した漏水検知技術
地下に張り巡らされた水道管路は全国で数十万キロに及び、そのすべてを人の手だけで調査することは現実的ではありません。こうした課題に対し、東亜グラウト工業では、衛星データを活用した漏水検知技術「ASTERRA Recover」を導入しています。
ASTERRA Recoverは、SAR衛星が地表へ照射するマイクロ波を用いて、地中の水道水に起因する反応を捉え、漏水の可能性がある箇所を広域的に抽出する技術です。
従来のように調査員が現地を歩いて確認する方法に比べ、広いエリアの中から優先的に確認すべき区間を効率的に絞り込むことができ、限られた人員の中で調査の重点化を図れる点に大きな意義があります。
広域スクリーニングから詳細調査へ
東亜グラウト工業では、人工衛星による広域スクリーニングで異常の可能性がある箇所を抽出した上で、アセットアドバンスド(Asset Advanced)を活用したAIによる管路の状態評価を進めています。
さらに、管路評価データに加え、破断影響度や重要施設接続管路といった重要度、工事発注条件も踏まえながら、アセットアドバンスドを活用したAIによる更新計画作成支援へつなげています。
厳しさを増す上下水道事業
上下水道事業を取り巻く環境は、人口減少に伴う料金収入の減少、施設・管路の老朽化、技術職員不足など、年々厳しさを増しています。
こうした中、従来の経験や個別対応だけで膨大な管路を維持管理していくことには限界があり、限られた予算と人員の中で、どこを優先して調査し、評価し、更新していくかを客観的に判断する仕組みが必要になっています。
また、更新時期を迎えた管路が面的に広がる事業体においては、限られた期間内で調査対象を整理し、効率的に現場確認へ移行できる点が、実務上の大きな効果につながります。
持続可能な上下水道マネジメントへ
従来調査では見落としやすい箇所も含め、次の詳細調査や維持管理計画につなげやすいことも特長です。
将来的には持続可能な上下水道マネジメントの実現を目指し、調査・診断・計画を一体で整理する取り組みです。
今後は、個別技術を単独で活用するのではなく、衛星、AI、GIS、現場調査を一連の流れとして組み合わせることで、より実効性の高い維持管理体制を構築していくことが重要になります。

