AI活用で処理場の運転管理が進化する

インフラの未来はロボットとAIが切り拓く

インフラの未来はロボットとAIが切り拓く

普段は見えない地下や施設の中で私たちの生活を支える上下水道インフラ。その現場では今、ドローンやロボット、AIといった新しい技術が活躍し始めています。本特集では、こうした技術を活用し、水インフラの未来を切り拓く企業の挑戦を紹介します。

『水を還すヒト・コト・モノマガジン「Water-n」』vol.19より転載(発行:一般社団法人Water-n)


AI活用で処理場の運転管理が進化する

株式会社ウォーターエージェンシー

「水再清ロボット®」と「WATER AI」

下水処理場では、日々変化する水量や水質に応じて設備や機器の運転を調整しながら水処理を行っています。こうした運転管理は、これまで熟練技術者の経験や勘に頼る部分が多く、人手不足の要因にもなってきました。

ウォーターエージェンシーでは、この運転管理をデジタル技術で高度化するため、「水再清ロボット®」と「WATER AI」というシステムの開発を進めています。

「水再清ロボット®」は、下水処理場の運転を自動制御するシステムです。水量や水質、水温などのデータをもとに処理に必要な送風量を自動的に調整します。これにより、最適な放流水質の確保とムダのない効率的な運転を両立することができます。このシステムの導入により、年間の消費電力を約10%以上削減できたことも確認されています。

AIによる運転支援と技術継承

このシステムの背景には、同社が全国の処理場で蓄積してきた膨大な水質データがあります。

2000年ごろから研究開発に着手し、現在では全国20か所の下水処理場で導入されています。

近年開発を進めている「WATER AI」は、過去の運転データや水質データを分析し、将来の水量や水質の変化を予測するAI技術です。熟練技術者が長年の経験をもとに行ってきた判断をデータとして蓄積し、AIが学習することで運転管理をサポートするだけでなく、自動制御も始まっています。さらに、AIによって技術の継承をすることも可能になります。

デジタル技術が支える水インフラ

下水道管理の広域化とともに、遠隔監視・制御による巡回管理への移行や、水質センサーを活用した連続測定による採水・分析作業の省力化なども進められています。人が担っていた業務をデジタル技術が支えることで、より効率的な運転管理に向けた動きが加速しています。

今後、上下水道分野ではIoTセンサーやAI、ビッグデータ解析の活用がさらに進むと考えられています。リアルタイムで水質を監視し、AIが予測や運転ガイダンスを提示することで、より安全で効率的な水インフラ管理が可能になります。

ウォーターエージェンシーは、こうした技術を通じて、持続可能な水環境と地域の暮らしを支える取り組みを続けていきます。