「よなよなエール」「水曜日のネコ」「正気のサタン」などユニークな名前のビールで知られるヤッホーブルーイング。日本のクラフトビールの先駆けとなったこの会社では1997年の創業当時から、自社設備で排水処理を行いつつ地域社会への還元にも努めているのだそう。詳しいお話を聞きに長野県佐久市にある醸造所を訪ねてきました!
ビールをつくるのに出る排水は?
「クラフトビール」とは、つくり手たちの革新性から生まれた多様な味わいのビールのこと。最近は日本でも固定概念に縛られない、さまざまな個性を持ったビールが生まれるようになりましたが、ヤッホーブルーイングはその先駆けとも呼べる存在です。
このヤッホーブルーイングで広報を担当する濱島瞳さんと、設備メンテナンスや排水管理を担当する高内麻貴さんに、クラフトビールをつくる際に出る排水について、まず聞いてみました。
「ビールをつくるためには、大きく分けて2種類の水を使います。ひとつは醸造に直接使う水、そしてもうひとつは洗浄や清掃、ボイラーの冷却など、間接的に使う水です。醸造所ではできあがるビールの15〜20倍もの排水が発生します。ここには麦芽やホップなども含まれるので、適切に処理をしてから排出する必要があるんです」(高内さん)

麦芽の搾りかすを肥料に
ヤッホーブルーイングの醸造所内にある排水処理施設では、排水を微生物の働きによる有機物の分解とフィルターによるろ過によって処理し、水質基準を満たすきれいな水にして還しています。また排水処理の際に発生する汚泥やモルトかすは、1997年の創業当時から、肥料として近隣の農家で活用してもらっているのだそう。このような循環型の資源活用は、今では実例も多いものの、当時はまだ前例も少ないはず。その中で続けてきたのはなぜなのでしょう?

「周囲に農家の方々が多いというのが大きいと思います。私たちには、クラフトビールは地域密着でつくるものという思いがあります。だからこそ、できるだけ地域に還元できることはしていきたいと考えています」(濱島さん)
「ビールと水は切っても切り離せないもの。しっかりと排水処理を行うことや、資源を適切に使うことは、結局私たちがずっとビールをつくり続けるために欠かせないことなんです。当たり前のことを当たり前にやる。それが創業時から変わらない、ヤッホーブルーイングのビールづくりの姿勢なのだと思っています」(濱島さん)

ヤッホーブルーイングのクラフトビールは、公式ビアレストラン「よなよなビアワークス」や全国のコンビニ・スーパー、オンラインストアからも購入できます。醸造所見学や大規模ファンイベントなどもあるので、ぜひ公式サイトのチェックを!
公式サイト:https://yonasato.com

『水を還すヒト・コト・モノマガジン「Water-n」』vol.17より転載(発行:一般社団法人Water-n)