「A」追究し、水リスクをチャンスにかえる
2019年のCDPウォーターでは、日本企業23社がAリストに選ばれましたが、では、これまではどうだったのでしょうか。
まず2018年の成績を見てみましょう。
2018年はBリストだった企業が最も多く、11社でした。次いで2年連続のAリストが7社、A-が4社でした。塩野義製薬は、スコアリング対象外から一気にAリスト入りしました。
さらに2017年までさかのぼってみると、堅調にランクアップしている企業はさておき、それ以外の企業には3つのパターンがあるようです。
まず、2017~2019年まで3年連続でAリストに選ばれた『ずっと優等生』が3社ありました。実は2016年までさかのぼってみても3社ともAリストで、やっぱり『ずっと優等生』です。
うち2社がキリンホールディングスとサントリー食品インターナショナルという食品・飲料系です。水の使用量が多く、また、水が原材料でもあるため、水への意識が高いものと推察されます。
残る1社は三菱電機です。同社はオゾンや膜を使った水処理技術を展開しており、国内外の下水や工業排水向けで需要増を見込んでいます。水リスクの高まりはその名の通りリスクでもありますが、ソリューションを提供できる企業にとってはチャンスでもあるということが伺えます。
次のグループは、2017年はAリストだったものの、2018年に惜しくもランクを下げ、2019年に再びAリストに選ばれた『返り咲き』です。該当企業が多く、クボタ・トヨタ自動車・ソニー・日産自動車・富士通の5社でした。
うち、トヨタ自動車とソニーは2016年もAリストでしたから、2018年にランクを下げてよほど悔しかったものと思われます。
また、クボタは先述の三菱電機と同じく配水用パイプや水処理事業を手掛けており、チャンスメイクでもあることが推察されます。
最後が2017年から急激にランクを上げている『注目株』の2社です。そのうちキッコーマンはCからAにランクを上げました。
一方の東京ガスは、2017年は評価できるだけの情報提供なしで「F」ランクだったのですが、2年間でAリストに選ばれました。水に関する情報公開への意識の高まりが伺えます。