【寄稿】アフターコロナを見据えた働き方改革を

業務を細分化すれば代替手段が見えてくる

 水のエッセンシャルワーカー(水インフラ従事者)の感染リスクを下げる働き方について、水処理エンジニアリング会社に勤める社員の方からご寄稿をいただきました。

「公衆衛生を最前線で守る水の専門家たち #水インフラと新型コロナ(1)」で上下水道の主要業務の分類図を掲載しましたが、もっと業務を細分化して検証すれば、機械、あるいはなるべく現場の近くにいる人で代替できる業務はいろいろあるはずだと指摘されています。

 水インフラマネジメントにおいて、働く方々の感染リスクを下げることと、Society 5.0の推進(ICTによる電子化・自動化、つまりなるべく現場に行かないようにすること)、働き方改革・生産性向上は、ほぼ同義と言えるのかもしれません。

コロナ禍を機に「もっと安全に」そして、こういう言い方をするとお叱りをいただくかもしれませんが「もっと楽ちん」にマネジメントできるようになればいいなと個人的には思っています。(編集長:奥田早希子)


業務を細分化すれば代替手段が見えてくる

投稿者:水処理エンジニアリング会社社員

私のグループでは3/4のメンバーが、水道エッセンシャルワーカーに該当します。彼等は皆、現地に駐在して水道の仕事をしているわけですが、その業務をもう少し細分化してみると、現地に駐在する以外に代替手段がありそうです。

事務業務:テレワーク可能。入札ですら電子が主流。契約書も電子化。

関係調整:国や関係機関、請負企業との調整にはTV会議を導入。

料金窓口:なんらか細工すればかなり省人化できる(キャッシュレス、口座引落し、電子メーター、チャットボット、使い放題にする)
     →お客様との対面接点を極力無くす。メガバンクが目指す姿が参考になりそう。

施設運転:なんらか細工すればかなり無人化できる(自動監視、自動制御)

日常点検:常時対応のものはICTを駆使する。定期的なものは必要頻度と重要性を振り返り、最低限に見直す

設計業務:事前測量等以外はテレワーク/外注でいけそう。

現地工事:これは困難かも。ただし技術の進歩でさらなる省人化はできそう。

緊急修繕:漏水・設備故障の類。これも困難かも。予備保有・二条化(編集部注:施設間を2つの異なるルートの水道管でつなぐこと)をすることで、瞬時のマンパワーピークは削減できる可能性あり。復旧時間との勝負。

給水活動:これも困難かも。いまは地震が起きないことを願います。動画サイトで給水活動作業を公開すれば、水道関係者以外に地域住民も協力できるかも。

こんな感じで固定観念を払拭すれば結構代替できそうなのが水道事業です。

ただし自治体においては「雇用の維持」「まちの維持」も大切な仕事でもありますので、やり過ぎてしまうと別の副作用が起こる可能性もあるでしょう。

とはいえアフターコロナは深刻な人手不足に戻りますので「働き方改革」のいい機会だと思って取り組みます。

水インフラの現場から感染者を出さないように、そして、コロナ禍において奮闘されている医療などの現場を混乱させないように、どのような状況においても水インフラサービスで社会を支えるという気概を持って業務にあたる。これはとても大切なことです。

それと同時に、個人の生産性も上げていき、そこそこの賃金を得る、ということもまた、重要なことです。水インフラのエッセンシャルワーカーが胸を張って生きていける社会になるよう、貢献していきたいと思います。