魔王がやってくる、ここにも、あそこにも……
ひとりで読むと、魔王がやってくる。
かといって、読まずに放置しても、魔王がやってくる。
そんな恐怖の文書を国土交通省が発行していることをご存じだろうか。
その文書は、魔王を回避するための方針が記された魔導書だ。方針に従えば、魔王の襲来を防ぐことができるかもしれない。
だが、ひとりでは難しい。
ロールプレイングゲームのように、勇者や僧侶、戦士、魔法使いなど、さまざまな得意分野を持つ仲間の力を結集しなければならない。
ただし、ロールプレイングゲームと決定的に異なる点がある。
「忙しいから」「面倒くさいから」「今日はやる気が出ないから」
そんな理由で、プレイしないという選択はできないのだ。
必ず、絶対に、プレイしなければならない。
誰がって?
それは、日本に住む私たち全員である。
魔王の正体は……
「そんな恐ろしい魔王が、日本にいるわけないだろ!」
そう思う気持ちは分かるが、残念ながら、いるのだ。それも、日本中の至るところに……。
魔王の正体を知りたければ、その魔導書、国土交通省の「群マネの手引き Ver.1」をひもといてみればいい。
その正体が見えてくるだろう。
「インフラの老朽化(による社会の崩壊)」である。
その身体は、道路や橋梁、下水道や水道、鉄道など、さまざまなインフラで構成されている。しかも、経営戦略や人事戦略にも長けている。
なんと恐ろしい魔王だ!
魔王討伐のカギは「群マネ」にあり
この魔王を討伐するには、土木の英知、道路や下水道など分野ごとの専門技術、経営や人事の知恵など、さまざまな人、領域、地域の力が必要だ。
それらの力を結集する考え方が「群マネ」、正式名称「地域インフラ群再生戦略マネジメント」である。
老朽化したインフラが増え、維持管理や更新に必要なコストが膨らむ。その一方で、技術者は減り、充てられる予算も限られている。
こうした課題に、個々の自治体やインフラ分野がバラバラに立ち向かっても、勝ち目は薄い。だからこそ、自治体の境界を越え、インフラの分野を越え、行政と民間の垣根を越えて、知恵と力を結集する。
群マネは、こうした課題を乗り越え、魔王を討伐するための強力な考え方の一つだと思う。
ところが、実際のところ、群マネの取り組みは十分に広がっているとは言い難い。関係者からは、魔導書の存在すら知られていないと嘆く声も聞こえてくる。
このまま放置すれば、魔王がやってくる。
このまま放置すれば、インフラが朽ちて、社会が崩壊する。
魔導書は、決してひとりで読むな
この記事を読んだあなた。
今すぐ魔導書をひもといてほしい。
ただし、繰り返しになるが、決してひとりで読んではいけない。でも、決してこのまま放置してもいけない。
自治体の担当者も、民間企業の技術者も、経営者も、そして住民も。異なる立場の仲間と一緒に読み、議論し、自分たちの地域ならどう戦うかを考えてほしい。
そして、魔導書を使う際には、最終ページに記載されている次の注意事項も忘れないでいただきたい。
本製品は改造してもかまいません。自分の地域に合わせて工夫することは大歓迎です。
電池は付属していません。エネルギーは、あなたの情熱から生まれます。

