日本ではまだ珍しい〝会計事務所機能〟付帯型
地域課題の解決に取り組むスタートアップを支援するシェアオフィス「まきのはらインキュベーションセンター」が2023年9月9日、静岡県牧之原市にオープンした。茶業で出る廃材活用や荒廃農地の茶樹によるバイオマス発電などの新規事業を育成し、地域活性化につなげていく。
インキュベーションセンターやシェアオフィスは各地にあるが、同センターの違いは会計事務所が運営していることと、会計や税務関係の業務を提供していること。起業したての時期は会計税務面の専門スタッフを雇う余裕がなく、本業との両立に悩むアントレプレナーは少なくない。会計事務所機能が付帯していることは大きな魅力である。
もう1つの違いは、利用者には地域課題の解決や地元企業との連携など、事業を通して地域活性化を目指す志が求められることだ。この理念に牧之原市も共感し、同市が主催する「牧之原市チャレンジビジネスコンテスト」(まきチャレ)に応募すれば利用料の1/3(最大10万円/団体・年)の補助を同市から受けられる。
同センターを運営する会計事務所の出縄良人氏(公認会計士・税理士)は同日に開催したオープニングセレモニーで「空港や富士山、農業や工業など多くの資源がある牧之原市は、国内だけではなく世界中から人が集まる適地だと思う。それらの人たちが牧之原で起業したり、あるいは地元企業と連携したりして国内外に事業を拡大していってほしい」とあいさつした。
牧之原市の杉本基久雄市長も駆け付け「かつて盛んだった茶業が斜陽産業になりつつあり、耕作放棄地も増えている。こうした課題を市外の方々と市内企業が一緒に解決する場になる」などと期待を述べた。