CDPウォーターのスコアリングパートナーに

東京設計事務所、水のアドバイザーで民需開拓

建設コンサルタント初のスコアリングパートナー

上下水道の計画や施設設計などを中心に、ほぼ100%近くを官需事業で展開してきた東京設計事務所が、民需市場へと触手を伸ばし始めている。

昨年、CDPウォーターのスコアリングパートナーとなった。日本国内では、非財務情報の構築・公開支援サービスのKPMGあずさサステナビリティ、金融情報サービスのQuickに次ぐ3社目で、建設コンサルタントとしては初となる。

CDPウォーターとは、国際NGOのCDPが実施しているプロジェクトで、世界のグローバル企業に毎年「水」に関する理念や取り組みについて質問状を送付し、得られた回答を公表し、かつ格付けを行う。投資先を決める際に回答や格付けを参考にする機関投資家が増えており、2017年時点で同プロジェクトに署名した機関投資家は世界各国で634、運用資産の総額は69兆ドルに達した。企業としては「NGOの活動だから強制力はない」と言って無視できない状況になっている。

上下水道のノウハウを企業向けに応用

スコアリングパートナーは、企業からの回答を精査し、点数を付ける。とはいえ、それだけで企業との直接的な接点が生まれるわけではない。17年に回答した日本企業176社の3分の1を同社が担当するとして、60社近くの回答に触れられることの意味合いが大きい。C判定とA判定の違いがどこで生じるのかの知見を集めることができ、それを基に民間企業に対するアドバイザリービジネスを育てるのが同社の狙いだ。

スコアリングパートナーの他の2社を含め、シンクタンクや損保会社、メガバンクなど競合相手は手強いが、同社には上下水道で蓄積した水マネジメントのノウハウがある。競合がどちらかというとアナリスト系のアドバイザリーだとすると、同社は具体的な対策技術まで提案できる点が強みだ。技術を持つ会社を紹介したり、その設計を手掛けたりすることもできる。洪水対策に必要なポンプシステムや、排水処理の省エネルギー化など、水の専門家でなければできないアドバイザリーで差別化を図る。

中小企業のサポートに商機あり

とりわけ同社が注目するのが、中小企業だ。CDPウォーターの対象はグローバル企業だが、それら企業がサプライヤーに対して水に関する報告を要請し始めている。日本の場合その割合は、17年の回答社数の35%にのぼる。サプライヤーの中にはCSRやIRの専門部署を設置する余力がない中小企業も多いと想定されるが、報告しなければサプライチェーンから外されるリスクがあるため無視はできない。それら企業のすべてが、アドバイザリービジネスの対象となる。この市場は想像以上に大きい。

上下水道インフラの整備が進み、整備・建設市場がシュリンクする中、上下水道各社は新規事業の開拓を急いでいる。上下水道の技術やノウハウは民間企業の水マネジメントにも応用できるはずだが、不思議と上下水道各社はCDPウォーターやSDGs、ESG投資という昨今の流れを民需市場を開拓するビジネスチャンスととらえる節が弱い。そうした中、ようやく挑戦する会社が現れた。同社は上下水道界では名の知られたコンサルタント会社ではあるが、民需となると無名に近い。正面突破はほぼ不可能だ

CDPウォーターのスコアリングパートナーという肩書が、民需市場への強力な通行手形になる。同社がどこまで民需市場に食い込めるかに注目である。

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