アフターコロナのインフラ点検は「無人化」がスタンダードに

NJSなどドローンサービスを手掛ける新会社「FINDi」設立

上下水道コンサルタントのNJSと、産業用ドローン開発を手掛ける自律制御システム研究所はこのほど、共同出資して「株式会社FINDi」(ファインドアイ)を設立し、2021年6月1日から、ドローンを使ったインフラ点検サービスの提供を開始しました。2025年度の売上高10.9億円を目指します。

「Air Slider:FI4」(飛行式カメラ)(FINDi提供)

上下水道管路の内部のような閉鎖性空間、構造物の上層部の外壁など、これまで危険と隣り合わせの作業環境のもとで人が行っていた点検を、ドローンにより省力化・無人化します。

サービス内容は次の5つです。

1,ドローンによる点検・調査・診断業務
2,上記業務にかかる技術開発
3,ドローンその他機材のレンタルおよびパイロット派遣
4,解析、診断技術者育成
5,データ処理サービス

このうち「1,ドローンによる点検・調査・診断業務」のサービスメニューは次の4つです。

① 施設内部点検
② 施設外部点検
③ 管路内飛行点検
④ 管路内水上走行点検

従来のテレビカメラ調査(左)では把握できなかったクラックも「Water Slider」で確認(右)(FINDi提供)

インフラメンテの作業の中でも、人が下水道管路の内部に入って行う点検はとりわけリスクが高い。水量の急激な増加や有毒ガス(硫化水素)発生等による人身事故が毎年発生しており、作業員の安全・安心の確保が課題となっていました。

また、感染力はないという研究があるようですが下水には新型コロナウイルスのほか、様々なウイルス等も含まれていますから、アフターコロナにおいては「完全無人化」が望まれます。

しかし、管路内は電波が届く範囲が限られるうえ、乱気流が発生してドローン操作が難しい等の課題があり、橋梁点検など外部空間でのインフラ点検に比べてドローン活用が遅れていました。

両社はこれまでに下水道管路で約3.5kmの調査実績を重ね、また、直径5mの大口径管路にも対応できる新型ドローン「Air Slider:Fi4(ファイフォー)」、管路内に下水を流したままでの点検を容易にする水上走行式カメラ「Water Slider:W4」が完成したことから、新会社を設立してサービス提供を本格化しました。

「点検無人化」サービスの本格展開は、水インフラの管路内調査のみならず、安全安心なインフラメンテナンスの確立に向けて、そのあり方を変革する新たな一歩と言えます。

「Water Slider:W4」(水上走行式カメラ)(FINDi提供)

■株式会社FINDi(ファインドアイ)
■株主:NJS(90%)、自律制御システム研究所(10%)
■本社所在地:東京都港区芝浦1-1-1
■代表取締役社長:稲垣裕亮
■主な注力分野:上下水道施設(汚水・雨水管路、導水管渠など)、農業用水施設(農業用水路、かんがい排水施設など)、発電施設(水力発電所、自治体の発電施設など)、河川施設、各種インフラ施設
■売上目標:2025年に10.9億円

売上目標(FINDi提供)