水リスク対策から総合インフラメンテ会社へ

東亜グラウト工業、函館のみぞぐち事業と事業提携

下水道管メンテや斜面防災に加え、橋梁・道路も


イメージ写真(photo AC)

 下水道管のリニューアルや液状化対策、斜面崩壊対策など水リスクに関連する技術・工事を主軸に事業展開する東亜グラウト工業(東京都新宿区、山口乃理夫社長)が、インフラ全般へと事業領域を拡大する。12月11日に、北海道道南地区を中心にコンクリート構造物メンテナンス事業を展開するみぞぐち事業株式会社(北海道函館市、佐々木義勝社長)と事業提携する契約を締結し、同社の株式100%を取得した。

これまで(1)地盤改良事業、(2)斜面防災事業、(3)管路メンテナンス事業の3つの柱で事業展開してきた。4本目の事業の柱として(4)コンクリート構造物保全事業が加わることで、これまで手薄だった橋梁や道路のメンテナンス需要を取り込む。まずはみぞぐち事業の地元である道南地区から札幌地区へ、さらには関東地区、全国展開へと活動エリアを拡大していく。

北海道地区の事業拡大にも期待

一方、既存の3事業については、みぞぐち事業の営業基盤を活かして北海道での事業を拡大する。とりわけ斜面防災事業については、北海道胆振東部地震で多くの土砂崩れが発生して危機意識が高まっていることを受け、早い時期に事業提携の成果が出ると見ている。

みぞぐち事業は、電気設備や産業廃棄物収集運搬、浄水場や下水処理場の機械設備工事なども手掛ける。北海道地区の子会社であるTMS工業を含む3社の人材交流を深め、新技術の開発、事業の効率化にもつなげる。

コンクリート構造物保全事業の売り上げを、現在の17億円から2020年度に20億円に引き上げる。また、東亜グラウト工業グループとして、北海道地区の売り上げを同26億円から同30億円に、グループ全体で130億円を160億円へ引き上げを目指す。

山口乃理夫社長は「当社はかねてより様々なインフラのメンテナンス対策をまとめて『トータルメディカルシステム』(TMS)として提案してきた。みぞぐち事業との提携により管路や斜面に加えて橋梁や道路も手掛けられるようになり、いずれインフラメンテナンスを“面”で提供できる会社になりたい。両者の人と技術を融合し、新しい技術や対策を生み出したい」と意欲的に語っていた。