「人材育成が成功のカギを握る」(野村社長)
フソウが人材育成に力を入れている。主軸であった上下水道など水処理施設の建設分野は新設需要が先細る一方、既存施設の運営管理分野は市場の拡大が見込まれるが、施設ごとの課題に合わせた「特注」の解決策を提案しなければならない難しさがある。運営管理の意識を全社的に根付かせることで、運転の効率化や老朽化した設備のリプレイスの省力化など運営管理に関する新技術の開発と提案力の向上を図る。
このほど人材育成の一環として「フソウ技術発表会」をフソウテクノセンター(高松市)で開催した。今回で3回目。若手に発表させることで、みずからの取り組みを整理する機会とするとともに、他部署や学識経験者の取り組みを知って視野の拡大を狙う。
当日はマネジメントシステムや、上水のカビ臭対策の低コスト化など、最新の研究成果が報告された。技術本部技術部の相谷明宏係長は、建物内にある設備の配置を3D画像で再現することで改築・更新工事の施工性を高める技術について発表した。「技術用語や横文字を使わず、一般の人にも分かりやすい説明を心掛けた。社内の人に良い技術だと知ってもらうところから、自治体での採用につながっていくと思う」と話していた。
会場となったフソウテクノセンターは、技術開発と人材育成の拠点として、また、地域貢献の拠点として2016年に開設した。津波時の避難所に指定されていることから、周辺住民に日ごろから施設に親しんでもらおうと、食堂「ビストロフソウ」は地域に開放している。社員より住民の利用が多いという人気ぶりだ。
上下水道ビジネスに関わる民間企業にとって直接の顧客は自治体であるが、運営管理への関わりが深まれば、利用者である住民も顧客として意識せざるを得なくなる。住民との接点を持つことは、人材育成とともに、運営管理の事業領域の拡大にもつながるはずだ。
野村充伸社長は「外を見る目を育て、刺激を受け、知識を身に着け、成長する。その善循環を実現したい。今、施設を“作る”から“運営”へと会社が大きく変わっていこうとしている。人材育成が成功のカギを握る」と意欲的に語った。
フソウテクノセンター
※「環境新聞」に投稿した記事をご厚意により転載させていただいています