人と水の関係を考える公演「アクア・ライフ」

レクラム舎が日水コン水インフラ財団の助成事業として開催

現代社会に生きる人間の心の問題を問いかける演劇で高い評価を受ける劇団レクラム舎がこのほど、人と水の関係を考えるリーディング公演「アクア・ライフ」を下北沢シアター711(東京都世田谷区)で開催しました。NHKのラジオドラマとして放送された3本の作品「水をくれ」、「貯水率」、「洗面器である父に」が上演されました。

「水をくれ」の舞台はスナック、「貯水率」の舞台は介護施設、「洗面器である父に」の舞台は家庭。現代社会のどこにでもある場において、大雨や風呂水、雨漏りといった水が、ある時は彼岸と此岸を、ある時は夢とうつつを、またある時は妄想と現実の境目をあいまいに溶かし、登場人物それぞれに、それぞれの今を直視させるストーリーです。

出演者は、演出かつ同劇団の看板俳優である鈴木一功さんをはじめ、狩野和馬さん、松坂わかこさん、三森淳子さんの4名だけ。しかし、3作品すべての役を見事に演じ分けられ、1時間半の舞台に魅了されました。

作品「水をくれ」の一場面
作品「貯水率」の一場面

また当日は「水インフラと水の七不思議」と題して、岡山大学異分野基礎科学研究所の松本正和准教授の講演も行われました。

講演する松本准教授

鈴木さんは今回の公演について次のようにメールでコメントをくださいました。

――「水」「水インフラ」に着眼されたのはなぜですか。
演劇、芸能の発祥は雨乞いからなどと言われています。演劇芸術は自然現象と深い関わりがあり、祈りの形でもあります。私達は社会の様々な問題と人間の心の問題をテーマに演劇を続けてきました。今回は水にテーマを絞りました。

――3つの作品を選ばれた理由をお聞かせください。
今回の作品はNHKのラジオドラマとして放送された作品です。私もラジオドラマに年間数本出演いたします。信頼できるプロデューサーからの推薦もあり。その中から舞台化にふさわしいと思われる作品を選びました。

――今回の公演で伝えたかったは何ですか。
水と人間の関係。人間の心の問題。演劇芸術の多様性も伝えたいと考えました。普段このような演劇に接することのない人たちに、演劇の面白さを知ってもらいたいと考えています。

なお、本公演は一般財団法人日水コン水インフラ財団の2021年度助成事業として開催されました。同財団では2022年度助成・支援事業を2022年3月15日まで受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。
日水コン水インフラ財団

右から狩野和馬さん、鈴木一功さん、三森淳子さん、松坂わかこさん