【能登半島地震⑥】水が守る人の「生活」

復旧を担う人々の思い

この連載で復旧に向けた取り組みを紹介してきた矢先に豪雨が能登半島を襲い、大きな被害が出たことに言葉もありません。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。そして一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。

【生活を守る】

2024年1月1日、能登半島をマグニチュード7.6の地震が襲った。半島という地形、建物やインフラ設備の老朽化、命綱ともいえる道路の被害など、さまざまな要因が重なり、上下水道をはじめとする社会インフラの復旧には多くの困難があった。厳しい現場を乗り越える原動力になったものとは、いったい何だったのだろう。さまざまなシーンで復旧に携わった人々のリアルな行動や、思いを振り返ってみよう。(全7回)


災地の入浴・トイレ問題の解決へ

被災地には、断水により「手洗いや入浴、トイレが使えない」といった生活用水の問題が存在する。生活用水の不足は衛生環境の悪化や感染症の流行だけでなく、「当たり前の生活を送れない」という尊厳を損なうことにもつながる。

水が使えず困っている避難者を助けたい。そんな姿勢で支援に挑んだのが、小規模分散型水循環システムの開発を行うWOTAだ。 断水時でもシャワーや手洗いを可能にするシステムを断水エリアの避難所や医療・福祉施設に展開した。

その際に掲げたのが「避難所によるシステムの自律運用」だった。持続的、かつ広域に迅速に展開するため、避難所や派遣自治体の人たち自身による「自律運用」を全展開施設で実施した。

WOTAのシステムは操作やメンテナンスが簡単だからこそ、レクチャーを受ければ運用が可能になる。珠洲市の避難所では、中学生が「WOTA BOX」のメンテナンスをしていた。写真提供:WOTA株式会社

水が使えないストレスは、体の健康だけではなく心の健康にも大きく関わってくる。いかに「生活」を守るか。これを一刻も早く 解消するためにどうするのか。

WOTAの災害支援は、この課題に対するひとつの答えになり得るのではないだろうか。(つづく)

珠洲市の避難所で、久しぶりの入浴に笑顔を見せてくれた親子。写真提供:WOTA株式会社

「Water-n」vol.16より