業種や企業の壁を越えたデータ連携による新たなビジネス・価値創出に取り組む企業間情報連携推進コンソーシアムはこのほど、オープンセミナー「~これからの環境を考える~持続可能な未来を創る」を都内で開催し、サーキュラーエコノミーやGXにおけるデータ連携について意見を交わしました。
経済産業省資源循環経済課の吉川泰弘総括補佐は、容器包装など廃棄物の種類ごとのリサイクル対策を強化するだけでは経済合理性もビジネス創出も実現できず、「廃棄物になってからのリサイクル」ではなく「廃棄物になる前段階での資源のアップサイクル」を志向しなければ国際競争に勝てないと強調。リースやシェアリング、リペアなども含む大きな概念としてのサーキュラーエコノミーを、脱炭素や経済安全保障などの観点も踏まえて動脈企業と静脈企業の全体が協調して実現することが必要だと指摘しました。
旭化成デジタル共創本部の小西美穂主幹研究員は、循環経済社会の実現のためには、資源を循環させることだけでなく、関わる全企業に何かしらの価値が創造されることの必要性を指摘。これを受け日立製作所GX事業開発本部の新開裕子本部長は、その環境価値を見える化できれば再生材の需要拡大につながるとし、循環の価値を表す指標策定など国際的なルール形成の動きに期待を示しました。
一方で小西氏は、製品に循環過程の詳細データを紐づけることが企業のノウハウ流出につながる危険性もあると警鐘を鳴らしました。
これを受け同コンソーシアムの市川芳明理事長は、資源循環に関わるすべてのステークホルダーの協調をデータ連携で実現しつつ、一定の情報は非公開にすることは技術的には可能と指摘。今後、同コンソーシアムでその仕組み作りを検討したいと意欲を示しました。