せっかくマイボトルを持っているのに飲み干してしまって、ついついペットボトル飲料を買ってしまう。旅行中にそんな経験をした人って意外に多いのではないですか。日本有数の観光地である京都市には、そんな緊急時に直面した観光客を救ってくれる「給水スポット」が市内各地に存在します。なぜ、このような取り組みを進めているのか、京都市役所に「水を還すヒト・コト・モノマガジン『Water-n』」編集部が直撃してきました!
(本記事は本サイトを運営する一般社団法人Water-nが発行する冊子「Water-n」vol.11(2022年1月発行)から転載したものです)
―こんにちは。
「こんにちは。京都市環境政策局循環型社会推進部資源循環推進課の課長補佐の大沼康宏です」
「主任の田中真弓です」
―実はここに来る途中の地下街で給水スタンドを見つけたので、さっそくマイボトルに給水してもらいました。このような給水スポットは、市内にどれくらいあるのですか。
大沼「2021年12月末現在で、812カ所が登録されています。公園の水飲み場もありますが、107カ所はメーカーとの連携協定で給水機が設置されているんですよ。京都に初めて訪れる観光客の皆様にも分かりやすいように、給水スポットマップも作成しています」
――どうしてこのような取り組みをされているのですか。
大沼「発端は京都市のごみ量(市受入量)の削減でした。ピークだった2000年度には82万トンも排出されていたんです。そこからごみの減量、分別リサイクルする取り組みを進め、2020年度には39万トン以下まで減らすことができました」
―素晴らしい!
田中「ですが廃ペットボトルを減らすのは難しかった…。京都市内の家庭からだけでも3600トン、一人当たり年間90本が廃棄されていて、排出量は横ばいです。だからペットボトルをマイボトルに持ち替えよう、という取り組みを始めたんです」
大沼「小学生の頃って、当たり前のように水筒を持って学校に行ったり、遠足に行ったりしてましたよね。いつの間に水筒が縁遠くなってしまったのか…」
―確かにそうですね。でも、水筒を持っていても、入れてきた飲み物を飲み干してしまったら困りますよね。そんな時、給水スポットがあればペットボトル飲料を買わずに済む。お財布にもうれしい!それに、もともとは市民向けの施策だったようですが、観光客にもありがたい取り組みです。
田中「給水スポットのもう1つのウリは、水道水を給水していること。公園の蛇口はもちろんですが、給水機にも水道を直結しています。これなら一般的なウォーターサーバーのようなプラスチック容器が必要ありません。それに京都市の水道水は、とてもおいしいんですよ」
―そういえば地下鉄の駅で「京の水道水 世界最高『水』準」というポスターを見ました。
大沼「給水スポットマップには、マイボトルにコーヒーを入れてくれるカフェなども掲載しています。今のところ登録数は30社・243店舗。河原町のような観光スポットにもたくさんあって、割引特典がある店舗もあるのでぜひチェックしてみてください」
―それもまたうれしいですね。
大沼「様々な取り組みを進めて、2030年度には家庭から排出される廃ペットボトルをピーク時の半分、ひとり当たり年間45本まで削減することを目指しています」
田中「京都市ではリサイクルだけに頼らず、無駄・非効率・必要以上の消費・生産を抑制するリデュースとリユースの2Rを重点的に進めています。京都には無駄遣いしない、節約するという意味の『しまつのこころ』が伝承されていて、2Rの考え方にも通じると思います」
―良いものを大切に、長く使うということですね。伝統工芸や文化が根付く京都らしさを感じます。
田中「私も京扇子を愛用しています。良いものだからこそ大切に使い続けようと思います」
―マイボトルを持って京都に行き、大切な一品を探してみます!