中央大学理工学部の学生たちが7月16日、3週間かけて考えた「上下水道で儲ける方法」を、国土交通省下水道部の加藤裕之下水道事業課長に提案した。3人1組のチームでアイデアをまとめ上げたもので、理工学部人間総合理工学科の山村寛准教授と一般社団Water-n、およびWater-nサポート企業である日水コン、日本水工設計、八千代エンジニヤリング、月島機械、フソウ、東亜グラウト工業、日之出水道機器、管清工業、浄化槽システム協会が協働で進めてきた授業の一環として行われた。この日は事前に行った投票で6位までに入賞した6チームが発表した。
1位に選ばれたチームは「下水熱を利用した野菜作り」を提案した。想定したのは東北のまちで、下水熱を使うことで低温期のナスの栽培を可能にし、二毛作を実現する。自治体は土地と下水熱を農家に提供し、農家から土地代と下水熱使用料を得る。一方の農家は従来の一毛作から二毛作になることで利益が増えるというウィン―ウィンのアイデア。収支も試算されており、2年後には黒字になるという。
加藤課長は「下水道の資源を循環させ、地域も元気になる。非常に好きなアイデア」と絶賛していた。
チームメンバーの川上将弘さん(写真右)は「地域特性を考えたところが評価につながった」、杉井優路さん(写真中)は「ナスに着目し、収支の数字を出せたところが良かった」、沼尾健太郎さん(写真左)は「提案をすることで、授業で学んだことがより身についた」と笑顔で話してくれた。
2位以下には仮想ポイントを発行して投資で儲けるアイデアや、大規模なプール&温泉施設を作って水使用量の増加と観光を活性化するアイデア、下水道への接続をためらう高齢者の住宅を高齢者向けシェアハウスにしてまとまって住んでもらって接続率を上げるアイデア、パケホーダイならぬ“水道ホーダイ”などのアイデアがあった。
授業を担当した山村准教授は「やはり若者は頭が柔らかい。非常に興味深いアイデアが生まれた」、加藤課長は「実際に取り組みたいという自治体が出てきそうなアイデアもある」と好評だ。こうした問題解決型の授業は、学生たちが社会に出た時に求められる課題発見能力、課題解決能力の育成につながる。実際に上下水道の課題解決にもつながることが期待される。