花王・生活者研究センターが2008年から続けてきた調査の結果、環境・エコ意識が25%も低下していることが明らかになった。「環境を良くするために何をしたらよいのか分からない」と感じる人が増えており、効果を実感できないという課題が背景にあると分析している。
具体的な行動としては、節電やごみの分別、詰め替え商品の利用が7割以上の高い実施率を維持している。
しかし、環境・エコへの関心は、東日本大震災の時に向上したものの、調査を初めた2008年から既婚未婚、男女関係なく右肩下がりを続けている。最も関心が高い既婚女性(20~60代)では、85%から68%に低下した。全体ではこの10年で25%も低下していた。
「自分一人の行動がどう改善に結びつくのか分からない」「一人一人の取り組みがどの程度役に立っているのか、具体的な数値が見えないと、努力しようという気持ちもわかなくなってしまう」などの意見が多く、行動による効果を実感できないことが関心低下の要因と分析している。
また、生活者の意識と行動には、社会動向に応じたトレンドが見られるという。2008年のリーマンショック後は、生活防衛のための節約が結果として環境に良い暮らし方につながった「節約エコ」の時代。2011年の東日本大震災後は、「節電・節水」意識が社会に広がり暮らしを切り詰める「震災エコ」の時代。2013年には好景気を背景に、環境・エコを自分らしく楽しむ姿があらわれ始めました「自分らしいエコ」時代。そして2016年以降には、目的意識は薄れながらも、節電、詰め替え商品の利用など一部の環境・エコ行動が「社会マナーとして」「習慣だから」などの理由で自然と定着した「習慣エコ」の時代と分析している。