【立て直す】
2024年1月1日、能登半島をマグニチュード7.6の地震が襲った。半島という地形、建物やインフラ設備の老朽化、命綱ともいえる道路の被害など、さまざまな要因が重なり、上下水道をはじめとする社会インフラの復旧には多くの困難があった。厳しい現場を乗り越える原動力になったものとは、いったい何だったのだろう。さまざまなシーンで復旧に携わった人々のリアルな行動や、思いを振り返ってみよう。(全7回)
少しでも快適な避難生活を
住む家を失った人々が入居する仮説住宅。避難生活から、日常の暮らしへと立て直すために、水が不自由なく使えることは不可欠だ。
でももし、建設場所の水インフラが被災していたら?そんな時に活躍するのが「浄化槽」だ。小規模な排水処理を行う浄化槽は、通常下水道のない地域に設置されるもの。大規模な工事が必要ないため、災害復旧にも活用できるという。
製品として浄化槽を取り扱うダイキアクシスには、東日本大震災や熊本震災での復興支援の経験によって「今回もやるべきことがあるはず」という確信があった。
少しでも仮設住宅の暮らしを快適にするためには、手洗いやお風呂、トイレ、洗濯を可能にする排水設備は不可欠。これは住宅メーカーだけでなく、排水機器のノウハウがある事業者が一緒に解決をしていかなければならない。
そして仮設住宅への入居を待っている人たちのためにも、浄化槽の納品にはスピードが重要だ。設計、工場、そして復興の現場が一丸となり、通常の半分のスピードでの納期を可能にしたこともあったという。
「社内の復興支援チームのメンバーであると同時に、一被災者でもある自分にとって、周囲がモチベーションを持って支援にあたってくれたことに感謝の気持ちを強く持ちました」
珠洲市の実家が被災し、被災地のために何かしたいと考えてチームに参加した新潟営業所の中哲司さんは、そう話してくれた。
いかに初動を早めていくか
「災害が起こってからどう動くか考えるのではなく、常時から震災対策のチームを組織して初動を速くしていくことが大切」と、チームリーダーを務めた横尾純也さんの言葉を受け、入社2年目の村上拓弥さんがこう応えた。
「今回の経験を受けて痛感したのは、チームづくりの大切さです。災害時は通常の業務よりもさまざまな点で時間がかかります。現場に行く人だけでなく、書類作成などを分業化することで、より効率的に動けるはず。こういった経験を、また次に活かしていきたいと思います」(つづく)