夏山シーズン到来!今年はトイレにも注目しよう!

安曇野市、クラウドファンディングで北アルプスをもっと素敵に!

標高3000m級の山々が連なる北アルプスパノラマ銀座。美しい景色や高山植物をお目当てに多くの登山者が訪れるこの山域では、ここ数年山岳公衆トイレの老朽化が問題になっていました。そこで安曇野市が2021年に実施したのが「一緒につくろう・まもろう北アルプスパノラマ銀座100年プロジェクト」。みんなのトイレをみんなで守るクラウドファンディングに、目標金額を大きく上回る7,089,000円もの寄付が集まりました。安曇野市役所の齋藤研一さんに、全国の北アルプスファンを巻き込んだ取り組みについて伺いました。

(本記事は本サイトを運営する一般社団法人Water-nが発行する冊子「Water-n」vol.11(2022年1月発行)から転載したものです)

燕岳

―どういった経緯でプロジェクトがスタートしたのでしょうか?

「安曇野市では6つの山岳公衆トイレを管理しています。老朽化が進んだため順次整備していたのですが、その中で最も山頂に近いのが燕岳テント場の公衆トイレです。標高が高い分、雪や風、紫外線などの影響で傷みが激しく、大きな改修が必要でした。

ただ、コロナ禍で登山者が減っていた上、ヘリコプターの輸送コストが高騰するなど、山岳環境は大きく変化しています。持続可能な山岳環境整備を行うためにも、北アルプスファンのみなさんのお力をお借りできないかと考えて始めた、新しい取り組みです」

クラウドファンディングでもらえるお礼の品のひとつ「信州安曇野オリジナルMYボトル」。この取り組みに参加した編集長の奥田も愛用中

―改修後のトイレはどのような仕組みになる予定でしょうか?

「燕岳のトイレに限りませんが、もともと山岳地域のトイレは、そのまま放流する形を取っているところが多くありました。ただ、環境負荷や、臭気の課題がありました。

改修後は、便と尿を分ける『固液分離方式』で処理することにしました。便はカートリッジに溜めて、ある程度の量になったらヘリコプターで地上に下ろし、尿は特殊な砂利のようなものでろ過して、ほぼ環境負荷がない形にしてから地下に浸透させます。ヘリの輸送コストなどもありますが、可能な限り環境に配慮した、持続可能な方法を選びました」

―反響はいかがでしたか?

「『北アルプスの山々も安曇野も大好きです』、『大好きな山をみんなで守っていきたいです』といった応援メッセージをたくさんいただいて感激しました。安曇野の美しい自然を一緒に守りたいという思いを持ってくださる方が多くて。環境問題についてコメントしてくださる方もいて、北アルプスファンの方々の環境への意識の高さも感じています」

燕岳テント場の公衆トイレ(改修前)

―全国から応援できる仕組みは、ファンのみなさんにとってもありがたいですよね。最後に、読者にメッセージをお願いします。

「北アルプスでは穂高連峰をのぞむ絶景を眺めながら縦走が楽しめますし、北アルプス以外にも標高1000m程度の里山で、ハイキングやトレッキングをされる方も多いです。

安曇野は美しい自然を満喫するにはぴったりの場所なので、新型コロナウイルスの感染に気を付けつつ、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。お待ちしております!」

地域の取り組みを応援したい時は?

ふるさと納税制度を使って安曇野市のような自治体に寄付できるガバメントクラウドファンディング® など、さまざまな寄付の方法があります。ぜひ探してみてください!