上下水道処理で新型コロナウィルスのリスク低減

不必要に恐れず、冷静な行動を

新型コロナウィルスがうんちやおしっこと一緒に体外に排出され、川に流れ、水道水となって家庭に戻ってくるのではないかと心配されている方がいるようですが、その心配はなさそうです。

家庭からの排水は、川に流れる前に下水処理場で処理されます。その際に新型コロナウィルスも失活できることが、国土交通省下水道部による厚生労働省への見解聴取で明らかになりました。

・SARSコロナウィルスはpH7~8の汚水中、6時間程度で失活する。同種の新型コロナウィルスについても、8時間程度の滞留時間(汚水を浄化するために生物処理する時間)を要する一般的な下水処理の過程で十分に失活させることが可能

・SARSコロナウィルスは大腸菌よりも塩素消毒に感受性が髙い。同種の新型コロナウィルスについても、生物処理後に塩素処理を行い、大腸菌群数を十分言低減することで、感染リスクを相当程度、低減することが可能

また、川の水から水道水を作るために、浄水場でも処理が行われます。ご存知のように水道水には消毒のために塩素を注入してから家庭に送られます。上述の通り新型コロナウィルスは塩素消毒が有効のようです。東京都水道局はサイトで下記の通り通知しています。

コロナウイルスに分類されるウイルスに対しては、一般的に、塩素等による消毒の効果が高いため、適切に塩素消毒されている水道水が原因となって新型コロナウイルスに感染することはないと考えられる。(※)
※ 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 片山浩之教授より
  (水処理分野におけるウイルスに関する専門家)

感染リスクがゼロと断言できるわけではありませんが、科学的知見に基づいた科学的な判断には合理性があります。感情的になって「100%の安全」を求めることは非合理的です。「安心」を手に入れるために、こまめな手洗いや消毒、便座の蓋をしてからトイレを流すなど、ひとりひとりの規律ある行動が今こそ求められています。